熱中症

連日暑い日が続いていますので、
今日は熱中症についてお話ししましょう。

熱中症は1つの病気ではなく、
高温によって生じる様々な病態を総称しています。

熱中症の国際分類はⅠ度Ⅱ度Ⅲ度となりますが、
これではどんな病状なのか、どう対応していいのかわかりません。
専門医がそばにいて「これはⅢ度だ」といわないと判断できないのです。
まさに医者の思うつぼです。

そこで熱中症の旧分類の説明をしましょう。
旧分類では、熱失神、熱痙攣(ルビけいれん)、熱疲労、熱射病の4つに分類されます。
どれが軽症でどれが重症かわかりますか?

みなさんお子さんが失神したら大騒ぎ。
救急車を呼ぶでしょう。
それに対して疲労程度なら休めば治ると思うでしょう。

ところが熱失神と熱痙攣は軽症のⅠ度。
熱疲労は重症の一歩手前のⅡ度。
そして熱射病は最も重症のⅢ度なのです。

熱失神は「のぼせ」です。
長湯をすると血管が拡張して血圧が下がり、立ちくらみしますよね。
それと同じですので涼しいところで休めば治ります。

熱痙攣は「こむら返り」と同じ。
汗と一緒に塩分(ナトリウムやマグネシウム)が流れ出て、
ミネラル不足で筋肉が痙攣します。意識ははっきりしています。
水の補給だけでは治りません。塩分を含んだスポーツドリンクや冷ました味噌汁を涼しいところで飲ませましょう。
熱失神と熱痙攣は軽症ですので体温は上昇しません。

熱疲労は「二日酔い」と同じ。脱水によって頭痛やめまい、吐き気や腹痛が起きます。
二日酔いの症状を思い出してみて下さい。水分補給だけで収まらないときは点滴が有効です。
体温がやや上昇しますが冷汗をかいているので、脇の下の体温(体表温)は低く出ますので、
鼓膜体温計で深部体温(中心体温)を計る必要があります。

熱射病は体温調節中枢がオーバーヒートして深部体温が限りなく上昇します。
熱で細胞が破壊され命に関わりますので緊急搬送が必要です。

さて様子を見ていいのか救急車かはどうやって判断すればいいのでしょうか。

それはズバリ「鼓膜体温計」です。
子どもやお年寄りとキャンプやスポーツに出かけるときは、
ドラッグストアで鼓膜体温計を買ってください。

3-4千円で買えます。鼓膜体温を測って38度を超えているときは、ためらわずに病院に運んでください。
病院に着くまでの間は涼しい環境で首の前を冷やしてください。
首の後ろを冷やすと体温調節中枢が「気温が低い」と勘違いして、
脂肪を燃焼して体温を上げますので逆効果です。
首の前や脇や鼠径部の血管を冷やして、血液を冷やすのです。

熱中症の予防で大切なことは普段から熱い環境に慣れておくことです。
春先から毎日屋外に出ていれば、だんだん暑くなっても体温調節がスムースに行われます。
普段屋外に出ない人は旅行の1週間前から、
初日は10分、次の日は15分、その次の日は20分と炎天下に出る練習をしましょう。
これを「熱順化」といいます。

日頃の鍛錬、こまめな休憩と水分補給、いざというときは深部体温の測定をお忘れなく。

南雲 吉則

医師 乳腺専門医
博士

南雲 吉則YOSHINORI NAGUMO

1955年生まれ。乳腺専門医、医学博士。慈恵医大・近畿大学の非常勤講師、韓国東亜医科大学・中国大連医科大学の客員教授。慈恵医大学卒業、東京女子医大形成外科、癌研究会付属病院外科、慈恵医大学第一外科乳腺外来医長を経て、バスト専門のナグモクリニック院長。 「女性の大切なバストの美容と健康と機能を生涯にわたって守る」をモットーに札幌・東京・名古屋・大阪・福岡の5院を飛び回る。がん患者の命を救う食事と生活術「命の食事」を提唱。テレビ出演・著書多数。

 

 

 

南雲 吉則の記事一覧

カテゴリー別

奥迫協子ブログ