1秒で心をつかめ。

みなさま、こんにちは!
ドクターリセラをこよなく愛するフリーアナウンサーの魚住りえです。

この度、新刊を出すことになりました。
タイトルは「1秒で心をつかめ。」
出会い頭の1秒、会話の最中の1秒、別れ際の1秒、あの人のことを思い出したときの1秒など、コミュニケーションの間に生じる「特別な1秒」に焦点を当てて、周りにいる大切な人たちにステキな印象を残す方法を掘り下げて書きました。

改めて考えてみると、「1秒」はほんのわずかな時間ですよね?
実際、「あ、」と言葉に出している間に過ぎていってしまいます。
でも、そのほんのわずかな時間が相手に与える印象、相手から受ける印象を大きく変えてしまうのです。

たとえば、あなたがこんな場面に遭遇したら、相手に対してどんな印象を持つでしょうか?

・ここからが話の大事なところというタイミングで、友達がスマホを取り出した
・注文を取りに来た店員さんが「はいはいはいはい」と矢継ぎ早な相槌を打ってきた
・商談相手が挨拶を交わしてすぐに腕時計をチラ見した
・初めて食事に行った気になる相手が、癖なのか、貧乏ゆすりが目に入る
・上司に相談していたはずが、「それでね」のひと言で切り返えされた後、相手の愚痴を聞くハメに

どれも些細な言動かもしれません。
でも、どの場面でもいい印象は持ませんよね?
「え!? この人、なんかちょっと失礼かも?」と感じるのに必要な時間は、1秒にも満たない相槌や言葉、態度で十分です。
しかも、一度、定着した相手の印象は半年近く変わらないことが心理学の研究でわかっています。
そして、それは人に与える好印象、人から受ける好印象でも変わりません。
私たちが初めて会った人を「この人、いいな」と思い、身近にいる誰かのことを「やっぱり、この人はステキだな」と感じるのに必要な時間もまたわずかなもの。
ちょっとした立ち振る舞い、話し始めの声のトーン、相槌、返してくれた言葉、話を聞いているときの所作など、ほんの1秒で伝わる何かが好印象につながっていくのです。

この人、仕事ができるな。
この人、すごく優しいな。
この人、一緒にいると安心するな。
そして、この人、感じがいいな。

出会った人にそんなふうに思ってもらえたら、人生は必ず良い方向に進んでいきます。
なぜなら、私たちは人とのつながりのなかで生きているからです。
魅力的な人の周りには、魅力的な仲間が集まります。
すべての人に好かれる必要はありませんが、多くの人に好印象を持ってもらえると、気の合う仲間と出会う確率が上がります。
心理学者のアルフレッド・アドラーは、「私たちが感じるストレスの9割は人間関係から生じている」と指摘しました。
その悩みの大半が「1秒」の心がけで軽減されていくのなら、それはとても素敵なことです。
この本では、私がアナウンサー、ボイス・スピーチトレーナーとして「声の持つ力」と「話すこと、聞くことの大切さ」を考え続けてきた経験をすべて注ぎ込み、好印象を生む「1秒」の秘密を解き明かしていきます。
キーワードとなるのは、「受けの1秒」と「攻めの1秒」です。

とはいえ、いきなり「受けの1秒」と「攻めの1秒」と言われてもピンときませんよね?
そこで、日々、私たちがメディアを通して目にしている「秒」の達人たちの技を例にして、「受けの1秒」と「攻めの1秒」のイメージをお伝えしたいと思います。
たとえば、テレビで見ない日はない司会者となったマツコ・デラックスさんは見事に「受けの1秒」を使いこなしています。
これだけちょっとした発言が炎上につながる時代に、マツコさんはテレビというファンばかりではない多くの視聴者の目に触れるメディアで、必要であればゲストに対して辛辣なコメントも口にします。
ところが、ほとんどの視聴者は好意的に受け止め、そのコメントをぶつけられたゲストご本人も笑顔になります。
なぜ、ポジティブな反応が広がるのでしょうか。
それは短い時間の間に話し手であるゲストと聞き手であるマツコさんの間に信頼関係が結ばれ、その空気感がお茶の間の視聴者にも伝わっているからです。
その信頼の源となっているのは、「間」の1秒。
マツコさんはゲストのどんな話にもしっかりと耳を傾け、深く納得したときも、ツッコミを入れるときも、辛辣なコメントを返すときも、返事の前に間を置きます。
「ええ」も、「はい」も、「うん」もなく、静かに聞いて受け止めて、1秒の間を空けてから「わかる」「……私、それはね」「あー!」と話し始めるのです。
この「受けの1秒」が、話し手にとって「しっかり話を聞いてくれた」という安心感となり、信頼感につながります。
そして、視聴者にとってはゲストの話を自分なりに理解する時間となり、マツコさんの切り返しへの期待感を膨らませます。
まさに「秒」で人を惹きつけているのです。

もう1つ「受けの1秒」の例を挙げます。
あなたは、4歳から芸能活動を始められた俳優でタレントの芦田愛菜さんにどんなイメージを持っていますか?
私は演技力のすばらしさはもちろん、普段の話し方から親しみに加え、落ち着きと高いインテリジェンスを感じています。
そのイメージを作り出しているのが、「言葉の言い終わりで必ず口を閉じる」という「受けの1秒」です。
じつは多くの人は無意識のうちに話をするとき、口を開き続けています。
すると、句読点や文末で音が途切れず、だらだらとした口調に聞こえてしまいます。
そして、言葉と言葉をつなぐための「えー」や「あのー」が増えていくのです。
「えー、私は営業を担当しておりまして」「えー、今回は」「あのー、その件は」と。
次の言葉のための場繋ぎとして出てきてしまう「えー」や「あのー」。
本人の意識は話の続きに向いているので、無意識に言ってしまっていることがほとんどです。
ところが、聞いている側は言葉と言葉の間の1秒に挟まれる「えー」「あのー」によって、「この人、わかっているのかな?」「焦っているのかな?」と心配になります。
せっかくいいメッセージを発していてもネガティブな印象になってしまうのです。
こうした、どうしても開いてしまう口、こぼれ出る「えー」や「あのー」を遠ざけ、聞き手の印象を劇的に変える方法があります。
それが芦田愛菜さんも実践している「言葉の言い終わりで必ず口を閉じる」です。
「ありがとうございます」(パク)、「驚きました」(パク)、「営業を担当している○○です」(パク)、「今回は○○ついてご提案があります」(パク)、「その件についてはすぐに返事します」(パク)と。
言い終わりに「パクッ」と口を閉じることを意識すると、相手に「きちんとした人」「知的な人」という印象を残すことができます。
これは発語の音のキレが良くなり、緩急のリズムのある話し方になるからです。
こんなふうに、「受けの1秒」は会話の流れの中で相手の心を動かしていくのです。

一方、「攻めの1秒」はこちらから積極的に仕掛け、相手に好印象を残すテクニックです。
たとえば、あなたの周りにも「あの人が来ると、なんだか職場が明るくなるよね」「あの人、いつも元気がいいよね」と言われている人がいませんか?
また、アナウンサーやナレーターの語り口調に心地よさや爽やかさを感じた経験はないですか?
周囲にポジティブな印象を残している話し手に共通しているのは、出している「声」の質です。
じつは、私たちの耳は構造上、3000ヘルツ付近の周波数を多く含む声を敏感に捉え、最も聞き取りやすく感じることがわかっています。
言わば、心をつかむ声。
語り口に心地よさや爽やかさを感じさせるアナウンサーやナレーターは、この音域の声で挨拶をし、話をしているのです。
いい声を出すと、相手は「この人の話を集中して聞こう」「この人は信頼できそう」と感じてくれます。口角を上げ、いい声を出す準備を整えるのに必要な時間はわずかなもの。
つまり、声の質に意識を向けることも「攻めの1秒」と言えるのです。
ちなみに、声の質はトレーニングによって何歳からでも高めていくことができます。
この「1秒で心をつかめ。」では、具体的なトレーニング方法を解説しますので、ぜひ試してみてください。

声の質とは別の角度から、もう1つ「攻めの1秒」の例を紹介します。
それは1秒先に立って相手の思考や感情に寄り添っていく対話型コミュニケーション。
周囲から信頼されている上司や先輩が必ず実践している話し方です。
たとえば、プレゼンや会議で発言が一段落したとき、参加している人たちの様子を見ながら「ここまで大丈夫ですか?」「質問はありますか?」「何か疑問点はないですか?」と投げかけます。
相手の思考が止まってしまっていないか寄り添い、決して一方的に話し続ける状態を作らない「攻めの1秒」のテクニックです。
この対話型コミュニケーションの達人が、オリエンタルラジオの中田敦彦さんです。
2019年に開設したYou Tubeチャンネル「中田敦彦のYouTube大学」は登録者数392万人(2021年6月21日)。
圧倒的なコミュニケーション力で100万人、200万人、300万人の壁を越え、チャンネル登録者数を増やし続けています。
私もファンの1人で、2回に分け、5時間に渡って「エヴァンゲリオン」を語り切った解説回は神回で、すばらしいプレゼンだと感激しました。
中田さんの話し方の特徴はウソのなさです。
エヴァ解説回でも、ストーリーやキャラクターの解説にとどまらず、どれだけ自分がエヴァシリーズを愛してきたか、そして、裏切られてきたかといった複雑な感情も素直に吐露され、心に響いてきました。
そして、コミュニケーションの達人だと感じるのは、視聴者と会話しているように話されている対話力です。
中田さんのチャンネルでは、歴史、文芸作品、ビジネルモデルの解説など、難解な題材も積極的に取り上げられています。でも、どんなに難解な解説回でも絶対に聞き手を置いてきぼりにしません。

「〜だと思いませんか?」
「〜ということなんですが、難しいですよね〜?」
「いやいや中田、いったいお前は何を言っているんだと、きっとあなたはそう思われるでしょう」

皆さんではなく、「あなた」と呼びかけるのも特徴です。
テレビではたくさんの視聴者に対して呼びかける語り口になりますが、You Tubeでは今、見てくれているたった1人のあなたのためにというニュアンスが大切。
それが話し手と聞き手の結びつきに特別感を与えてくれるのです。

私たちは、人と深くつながり合えたとき、つながり合っている姿を目にしたとき、心、動かされます。

・プロジェクトがうまくいき、仲間と目が合い、気持ちが高揚する瞬間
・告白の後、親しい人から恋人になったことに心躍る瞬間
・何も言わず話を聞いて、頷いてくれる友人に惚れ直す瞬間
・応援しているチームが息のあったプレーで勝利を収め、感動した瞬間
・推しているアイドルのライブを見ながらステージとのつながりを感じた瞬間

ああ。いいな。この感じ。
一緒にいてそう思える人が側にいる。
隣にいて仕事ができる。
暮らしていける。
何気ない話ができる。
議論できる。
笑い合える。
眼と眼を合わせて頷き合える。

そんな誰かとの深いつながりも、さかのぼっていけば始まりは「1秒」です。
「この人、なんか感じがいいな」と。
人と人とのつながりの結び目が強くなるか、解けてしまうかは1秒の印象で大きく変わります。
ほんの一瞬で受けた印象から、あなたとその人との関係は変わっていったはずです。
その他大勢の1人だった相手がもっと話してみたい存在になります。
その変化は、過ごした時間の長さとは関係なくやってくることも。
初対面の1秒、再会後の1秒、日常での1秒。
あなたもこれまでの人生の中で、「あ、この人だ」と思える強い結びつきを感じた瞬間があったはずです。
是非、この本で新たな始まりの1秒を作りだして頂ければ幸いです。

大変恐縮なのですが、Amazonで予約販売が始まっております。
https://www.amazon.co.jp/dp/481560312X/?fbclid=IwAR13aoKC5Gqz4E7VLOnd1GtTvTkrCot4TEJIIeeYhYhPoI3C6SyAdeenc_Y

書店に置かれるのは9月28日以降になりますが・・・・
少しでも多くの方に、この1秒の大切さをお届けできたらと思っています!

魚住 りえ

タレント
フリーアナウンサー

魚住 りえRIE UOZUMI

大阪府生まれ。広島県育ち。
母がピアニストという家庭で3歳からピアノの専門的なレッスンを受け、音感を養う。高校時代、放送部に在籍し、数多くのアナウンサーを輩出しているNHK杯全国高校放送コンテストに出場。朗読部門で約5,000人の中から全国3位に選ばれる。慶応義塾大学時代は放送研究会に所属。

1995年、慶応義塾大学文学部仏文科卒業後、日本テレビにアナウンサーとして入社。報道、バラエティ、情報番組などジャンルを問わず幅広く担当、出演番組に「所さんの目がテン!」「ジパングあさ6」「京都 心の旅へ」などを担当。

2004年フリーに転身し、テレビ、ラジオを問わず幅広く活躍中。中でも、2004年からナレーターを務めるテレビ東京「ソロモン流」では、わかりやすく、心に響く語り口に定評がある。 「魚住式スピーチメソッド」を立ち上げ、話し方を磨くための指導を行う。経営者や弁護士といったビジネスパーソンを中心に口コミで広まり、多くの方が受講する人気レッスンに。

著書「たった1日で声まで良くなる話し方の教科書」(東洋経済新報社)が15万部を超えるベストセラーとなっている。
近著に「たった1分で会話が弾み、印象まで良くなる聞く力の教科書」(東洋経済新報社)があり、シリーズ累計20万部を突破した。


本業のかたわら、ピアニストの姉・魚住恵とともに、「姉妹で奏でることばと音色~朗読とピアノ演奏による姉妹コンサート~」にも取り組む。

他に、「10歳若返る!話し方のレッスン」(講談社)

 

 

 

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