時間に魔法をかけよう

「時間」には二つの時が存在します。

一つは、現実に時計の針がすべって行く時間です。
もう一つは、濃密で「時が止まれ!」と思える時間です。永遠に心に憶えておきたいと思える瞬間です。

ギリシア神話には、クロノスとカイロスという時間を表す神が存在します。

クロノスとは、ただ進み流れる時です。
カイロスとは感動的で、心が関与するような時をさします。

「時」をカイロスのように感じられるのは、ただ時間を過ごしている人には感じにくいものです。
ある母親が、末期のガンと宣告され、余命三ヶ月と告知されました。
治療法がないのなら病院ではなく、自宅で過ごしたいと在宅医療が始まりました。
自宅で療養する中、日常の一瞬一瞬がキラキラ輝き出したと言うのです。
今まで何気なく聴いていた鳥の声も、公園から聞こえる子供達の声も感動して聞こえ、昼下がりの静かなリビングの部屋の光も幸せにあふれていると…

 

 

そして、今までは子供達にバタバタと作っていたお弁当ですら、今は、病気のために、おにぎりを握って持たせるだけで精一杯です。
でも、子供達は、そんなおにぎりでも、それを宝物のように学校に持って行く。
子供達も、コメ粒一つ一つに母の愛情を噛みしめ、お母さんも、おにぎりを今日が最後かもしれないと思って、愛情をオニギリに込めて日々を生きています。

そのオニギリの中にもカイロスが存在するのです。

 

脳腫瘍の宣告を受けた人が、会社のはからいで、激務の営業から内勤に移動し、規則正しく帰り、休日は休むようになり、息子と散歩する余裕ができた。

それまでは、口を開けば「勉強はしているのか?成績はどうなんだ?進路は考えているのか?」だったのが、今は「お母さんを大切にしなきゃな。人生は一度だから充実して生きなさいよ」と会話が変わりましたと…

そして「人はいつかは死にます。交通事故もある、災害もある。でも、このガンには時間がある。
もし、突然に事故で亡くなったら、こんな子供達との散歩も、息子との語らいもなかったのです。
だから、今は脳腫瘍に感謝してもいるのだ。こんな時間を与えられて…」と。

ただ時間が流れるクロノスに、カイロスの「瞬間」を味わえるのは、すべてに終わりがくると意識することです。
夫婦にも、親子にも、友も、青春にも、時代にも終わりは、やって来るのです…すべての時間に感覚を研ぎ澄ましましょう。
今日、街を歩いていてビラを配っている女の子が、誰にも受け取ってもらえなくて、途方に暮れている姿が目に止まりました。そんな時は、自分から前に出て「新しく開店したお店なの? じゃ時間見つけて行ってみるかな ! 」と声をかける。「はい!」と、笑顔が回復しました。

道に迷っている異国の人に、迷子になっている子どもに、コンビニのバイトさんに、「いつもご苦労さま!」の一言で、ただ流れるクロノスの時間をカイロスの時間へと移行させる。

 

通りすがるのも一瞬(クロノス)、声をかけるのも一瞬(カイロス)

流れる景色の中で、あなたが時間に魔法をかけてみませんか!

 

 

プロフィール

 

衛藤信之

日本メンタルヘルス協会 心理カウンセラー
ブログ:  https://ameblo.jp/n-etoh
YouTube: http://www.youtube.com/c/mentaletoh

 

 

 

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